雨の日はブルー、頭痛、だるい……それは「気象病」かも
5月の夏バテについて前回(https://physical.ne.jp/archives/490)お伝えしました。その原因は自律神経の乱れ。不規則な気象状況や生活リズムなどが自律神経のバランスを乱し、だるさや頭痛などの様々な不調につながってしまいます。
こうした不調は気温、気圧、天気が不安定な春先など、季節の変わり目に起こりがち。低気圧が続いて湿度が上がる梅雨時に具合が悪くなるパターンもあります。
このような気象の変動に伴って起きる不調のことを「気象病」と呼びます。
気象病とは?
雨や台風といった天候変化、気圧や気温、湿度などの変動に伴って起こる身体の不調=「気象病」。その症状は人によってさまざまです。
頭痛や関節痛に悩む人が多いですが、そのほかにもめまいや肩こり、だるさ(倦怠感)、気分の浮き沈み、古傷のうずき、胃腸不調、眠気などを感じる人もいるようです。自律神経の乱れについては春のコラムでも紹介しています(https://physical.ne.jp/archives/421)が、様々な環境変化や生活リズムの崩れ
がストレスとなり、その変化に身体がうまく適応できていない状態。
身体をアクティブモードにする交感神経とリラックスモードにする副交感神経の切り替えがうまくいかなくなって、どちらかが優位なまま続いてしまい、血行が悪くなり痛みを感じたり、憂鬱な気分が戻らないなどのメンタルの不調が出たりしてきます。
気象病と耳の関係
気象病のメカニズムについては、現在のところまだ完全に解明はされていません。
しかし、気象の変化の中でも気圧の変化が気象病の人にとって影響大だということが指摘されています。
そしてその気圧変化を敏感に感じ取る人が気象病になりやすいこと、その鍵は「耳」だということも。耳の中の「内耳」が気圧の変化に敏感に反応し、自律神経に影響を与えているというのです。
そこで、気圧変化を過敏なほどに感じ取ってしまう人の気象病の不調を和らげるには、耳の血行不良を改善すると良いそうです。
そんなわけで、次に内耳の血行を改善する簡単なセルフケアをお伝えします。
(参考:東洋経済オンラインhttps://toyokeizai.net/articles/-/581050?page=3、第一三共ヘルスケアhttps://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/selfcare/weatherdisease-02/)。
セルフケアその1・耳マッサージ
①両耳の上部を軽くつまんで5秒間、上に引っ張る。つまむ部分と方向を「真ん中を横に」「下部を下に」のパターンでも同様に。
②両耳の真ん中を軽くつまみ、横に引っ張り、そのまま耳を前から後ろにゆっくり大きく回す。5回。
③両耳を包むように曲げて5秒間キープ。
④両耳をてのひらで覆い、円を描くように前から後ろにゆっくり5回まわす。
筆者は気象病ではありませんが、デスクワークが続いて肩が凝っている自覚がある時にこの耳マッサージをしてみると、つまんだだけで耳が痛く、いかにも血行が良くないという感覚があります。
セルフケアその2・耳温熱
お次はシンプルに耳を温める方法です。
濡らしたタオルをポリ袋に入れて電子レンジで温めるなどして、蒸しタオルを用意します。
そのホットタオルを耳と耳の周りに当て、温めます。
ホット用のペットボトルにお湯を入れたものを当ててもかまいません。熱さに気をつけて、やけどをしないように注意してください。
いずれも、耳の後ろにある「完骨」というツボに当てると良いそうです。
耳の後ろ側にある骨のふくらみの下の部分から、指1本分後ろのくぼみにあるツボです。これは首から頭にかけての血行を良くするツボで、東洋医学ではめまいや頭痛に効くとされています。
セルフケアその3・アロマテラピー
お次は耳の血行とは別の方法、アロマです。「日本アロマ環境協会」は気象病の症状改善に使えるアロマを提案しています。(https://www.aromakankyo.or.jp/pdf/news/1362/2020622_kishobyo_v4.pdf)
自律神経を整えるのにアロマテラピーは役立ちます。
同協会が会員に行ったアンケートで、気象病の際に活用できる香りに選ばれたTOP5のアロマは、ラベンダー/ゼラニウム/スイートオレンジ/ペパーミント/ベルガモット。ストレスを緩和したり頭痛をやわらげたりする効果を持っている精油たちです。
使い方としては、ディフューザーなどで空気中に香りを漂わせたり、コットンやハンカチに香りを含ませて持ち歩き、不調が出た際にその香りを嗅いだりするのがおすすめです。
また、天気が悪くて身体が重い、やる気がでないといった副交感神経優位な状態から抜け出せないような時に効果的なアロマのブレンドもあります。
・朝におすすめのアロマブレンド・・・ペパーミント+レモン(シャキッとしたさわやかな香り)
・寝る前におすすめのアロマブレンド・・・ラベンダー+スイートオレンジ(甘さのある穏やかな香り)
精油は基本的に直接に肌につけることはできませんが、キャリアオイルで希釈して直接肌に塗ることができる商品も売られています(もちろん自作することもできますが、知識が必要です)。
気になる部位に直接塗るなどしたい場合は、アロマ専門店や有資格者に相談してみましょう。
また、妊婦や高齢者の方などの場合は特定の精油が禁忌や要注意の場合もありますので、その点も専門家に確認して取り入れてくださいね。
まとめ
気象病による不調には自律神経が深くかかわっています。
そのため、不調の改善のためには、まずは基本的な生活リズムを正すことや十分な睡眠、運動、バランスのとれた食事などが大切です。
それに加え、ご紹介したようなセルフケアを取り入れることが、猛暑や気象変動の激しくなってきた近年の環境に対応するためのひとつの方法かと思います。
ところで、最後になってしまいましたが、そもそもは自分自身が気象病かどうかを見極めることが初めの一歩です。どんな時に頭痛が悪化するのか、記録をつけるところから始めましょう。
アプリなどを活用して自分自身の体調を記録し、気象との連関がつかめたら、気象予報などの情報から体調を予測できるようになります。
そうすれば薬やアロマを準備して携帯するようにしたり、身体に負担をかけない生活が送れるように予定を調整したりといった対策を立てることができますから。