ミトコンドリアを活性化させて、元気な毎日を!
私たちの細胞の中に存在し、生命活動にとって非常に重要な働きをするミトコンドリア。
健康も老化も、もとをたどればミトコンドリアの活発さ次第ということで、現在、国内外でミトコンドリアについて様々な研究が進められています。(「美と健康のおおもとはミトコンドリアから!」https://physical.ne.jp/archives/545)
ミトコンドリアの活発さはどこから来るのでしょうか?
ミトコンドリア病と呼ばれるような病気ではない場合には、ミトコンドリアはそもそも加齢によって活動がにぶくなり、その数も減少してしまいます。ミトコンドリアがしっかりと働いてくれれば、もっと元気でいられるはず。
どうすればミトコンドリアを活性化させられるのでしょう?
日常生活でも、取り組めることがあります。
有酸素運動でミトコンドリア活性化
今年3月の日経新聞に『「体のエネルギー工場」、ミトコンドリアの能力を高めるカラダづくり』(2024,3,1電子版)という記事がありました。
それによると、ミトコンドリアを活性化する方法として、カロリー制限/糖質を減らしてケトン体濃度を上げる/有酸素運動――の3つの方法があるとのこと。
このうち、カロリー制限や糖質制限は、知識なしに個人的になんとなく取り組むことは難しそう。そこで、まずは有酸素運動から取り組んでみてはいかがでしょうか?
有酸素運動といえば、ウォーキングやジョギング、水泳、エアロビクスダンスなど。ミトコンドリアのことを持ち出すまでもなく、健康維持のためにやるべきだと多くの人が認識しているでしょう。
細胞のエネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)をミトコンドリアは体内の糖や脂肪と酸素から生成します。
まずは糖(グリコ―ゲン)から、そして運動が長時間継続し糖が足りなくなると、体内に蓄積されてある脂肪を分解してエネルギーを生み出します。その時に大量の酸素が必要となるため、呼吸を早く、心拍数を上げながら酸素を取り込み、エネルギー源を作り出すようになります。
そのような状態になる運動が有酸素運動で、体が酸素不足の状態になることがミトコンドリアを奮い立たせるのだといいます。
また動物実験では、マラソンのような長時間の運動に適した筋肉を鍛えることで、ミトコンドリアの機能が増幅することがわかっているとか。
有酸素運動はそもそも、脂肪燃焼や呼吸器、循環器系の機能向上が期待され、生活習慣病の予防などにつながるといわれます。
ミトコンドリアの活性とそのことが関連しているのかどうかはわかりませんが、健康的な生活を維持するために有酸素運動を習慣づけない手はないでしょう。
食べる物からアプローチ
食事の面からもミトコンドリアをアシストすることが可能です。ミトコンドリアを活性化させる力のあるものとしては、有機酸やコエンザイムQ10などが挙げられます。
有機酸
有機酸とは、クエン酸やリンゴ酸、アスコルビン酸や酪酸などのことを指します。
どんな食材に含まれるのでしょう?……まずはリンゴ、オレンジ、キウイ、レモン、赤ピーマン、パセリ、ブロッコリー、ケール、モロヘイヤといった野菜や果物があります。
このほか、クエン酸といえば梅干し、そして酪酸を含むぬか漬けなども。
これらの食材は各種のビタミン類も含み、腸内環境を整えるといった作用もあり、有機酸の観点からだけでなく日々の食事に取り入れたいものです。
コエンザイムQ10
「補酵素」という意味の「コエンザイム」の一種、コエンザイムQ10はミトコンドリアの中に多く存在する成分で、ATP産生プロセスにおいて重要な役割を果たすとされています。
食べ物から摂取することもでき、体内で生成することもできるのですが、20代をピークに体内でのコエンザイムQ10濃度は加齢にともなって減少していくことがわかっています。
コエンザイムQ10がないとミトコンドリアが活動できないということで、ミトコンドリアの活性化にはコエンザイムQ10が必要なのです。
コエンザイムQ10を含む食べ物には次のようなものがあります。
イワシやサバなど青魚/牛肉、豚肉/大豆/ピーナッツ、クルミなどナッツ類/ほうれん草/ブロッコリー/チーズ
とはいえ、毎日、コエンザイムQ10をしっかり食事から摂取するというのは難しいという指摘もあり、サプリメントで補うことも一案です。
そのほかの栄養素
タウリン、ビタミンC・B2、葉酸などはコエンザイムQ10を体内で効率よく合成するために必要とされる栄養素です。
上記のコエンザイムQ10を含む食材のほか、これらの栄養素にも意識を向けたいところ。
また、ミトコンドリアを弱らせる活性酸素を減らしてくれるビタミンCやE、ポリフェノールなども積極的に摂ることも意義があるでしょう。
必要な栄養素がたくさん挙がってきてしまい、総合してみれば結局、さまざまな食品をバランスよくしっかりといただくことが大切だというところに行きつきます。
やっぱり運動と食事が大事
ミトコンドリア活性化のために日常生活でできること、それは有酸素運動とバランスのよい食事――こう結論づけると、ごく一般的な健康論と変わりません。
一般論ながら、それを継続して行うことがなかなか難しいのが現実です。
まずは有酸素運動を始めましょう。そして食事については、多くのことに配慮するのが難しいと感じる場合は、サプリメントを取り入れてみるのも助けになりそうです。