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2023.12.12

ブドウの話② フルーツとしてだけじゃない!さまざまに活用されるブドウ

ブドウ種子から有効成分を抽出して製品化している私たち。
ブドウに魅せられ、その歴史的、文化的背景に驚き、おいしいだけじゃないブドウのすごさを知っていただきたいと、語らせていただきます。
生の状態のブドウの栄養と美容・健康効果についてはブドウの話①(https://physical.ne.jp/archives/174)を。
今回はワイン、干しブドウ、そしてブドウ葉の持つパワーを紹介したいと思います。

ワインは体にいい?

ワインの健康効果とは

ワインの健康効果としてよく知られるのが、ポリフェノールでしょう。
皮ごと発酵させる赤ワインは特に、レスベラトロールやフラボノイドなどのポリフェノールが豊富。アンチエイジング効果や動脈硬化の予防、抗がん作用、冷えの解消、そして認知症の予防など、さまざまな効力が報告されています。

一方、ポリフェノールの量では劣る白ワインの方が実は、ポリフェノールが体に吸収されやすく、抗酸化力が強いとも言われています。
ポリフェノール以外の成分では、カリウムによる血圧を下げる効果、「酒石酸」や「リンゴ酸」といった有機酸による腸内の善玉菌を活性化させる効果などが指摘されています。
ヨーロッパの国々では昔から「ワインは最高の薬」。毎日の食卓に欠かせない飲み物であり、疲労回復、さまざまな病気の予防に効果的だと考えられてきました。
とはいえ、健康的なワインの飲み方は“適量”が原則。“適量”とは1日2杯ほどだそうです。
ほかのアルコールに比べ糖質が少ないということもあって「ワインは健康的」と言われがちですが、やはり飲みすぎは肝臓に負担をかけてしまいますので、ご注意を。

古代では薬がわりに?

古代エジプトの墳墓からは、なんと生薬入りのワインの容器が出土しています。
(ナショナルジオグラフィック https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/1104/
古代ギリシャでは、「医聖」ヒポクラテスが治療にワインを使用していたとされています。その用途は、解熱剤、消毒薬、利尿薬、そして疲労回復剤など、多岐にわたります。
(AERAdot. https://dot.asahi.com/articles/-/102110?page=2

これらの古代の医学が非科学的かといえばそうでもないようで、そもそもワインには抗酸化物質が豊富に含まれ、抗菌作用や消毒効果を持っています。
現代において知られているワインの鎮痛効果やリラクゼーション効果も、当時すでに認知されていた様子です。
健やかな時も病める時も、ワインは人々の暮らしを支えてきた歴史ある液体だったわけですね。

干したブドウはスーパーフード!

野菜やキノコ、果物などを干して乾燥させた乾物は、水分がとんで、新鮮な時と比べてうまみや栄養価がギュッと濃縮されます。
ブドウの場合、生のブドウ1kgからできる干しブドウ(レーズン)の量は200gほど。その分、栄養も生の状態の約5倍以上に濃縮されています。
皮のまま食べられるレーズンは、ポリフェノールはもちろん、現代人に不足しがちなマグネシウムやカルシウム、鉄分といったミネラル分、そして食物繊維なども豊富に含まれるスーパーフードです。
乾物なので携行性にすぐれ、また、そのブドウ糖がアスリートのエネルギー源として最適なことから、マラソンや登山の補給食によく選ばれます。
(カリフォルニア・レーズン協会 https://www.raisins-jp.org/function/raisin.html

しかし、レーズンは糖質もたっぷり、食物繊維も多い食品です。食べすぎは糖質過多、消化不良につながります。
甘いお菓子が習慣になっているなら、ミネラル豊富なレーズンに置き換えるのはとても良いでしょう。
そして、よく噛んで食べることも大切です。
ほかの乾物のようにぬるま湯などで戻したり、ヨーグルトに漬け込んでやわらかくしたりするのもいいですね。

葉にも有効成分あり!

ブドウは実だけでなく、なんと葉っぱも使えるんです。
ヨーロッパでは古くから、ワイン用の赤ブドウの葉がハーブティーとして飲まれてきました。実際に、果実よりも葉の方がポリフェノールの含有量が多く、アンチエイジングや血液の循環によいと言われています。
日本ではブドウの葉のお茶は一般的になじみがありませんが、ハーブティーの専門店などで見つけることができます。
また、こうしたアンチエイジング効果と血液への効果を得るため、赤ブドウ葉から抽出したエキスを配合したスキンケアやメイクアップ製品、むくみ対策のサプリメントなども流通しています。

ブドウの葉そのものを食べる料理法もあります。
有名なのがトルコの「ドルマ」。ブドウの葉で米やひき肉などを巻いて炊いた料理です。
日本にある「ロールキャベツ」のキャベツをブドウの葉に、中身を肉でなく米が主体にした感じです。
トルコの近隣、ギリシャやかつてオスマン・トルコの領内だった地域にみられる料理で、ギリシャでは「ドルマデス」、エジプトでは「マハシー」「ワラ・アイナプ(意味は「ブドウの葉」そのもの)」、ブルガリアでは「サルミ」などと呼ばれています。
生の葉をゆでて柔らかくしてからフィリングを包みますが、現地では塩漬けの葉っぱが缶や瓶詰で売られているので、やわらかな新鮮な葉っぱの季節でなくても作ることができます。

まとめ

フレッシュな生のブドウはもちろん、ジュースやワインにお茶、干しブドウとさまざまに形を変えて私たちの口に入るブドウ。
おいしくて健康に大切な成分がたくさん含まれるすばらしい食材です。現代のように栄養状態の良くなかった時代には、ブドウの糖分や水分もありがたかったに違いありません。
さまざまな新しい食品が登場する現代、古代から利用されてきたブドウの価値を見直してみたいですね。

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