ブドウの話① 知れば知るほど奥深い!ブドウの世界
ブドウーーその実は甘くてジューシー、やわらかくて食べやすく、子どもから大人まで多くの人に愛される果物。
数多くの実を房につけることから豊穣、多産、生命力を象徴し、実際のその力強さと適応力で世界各地に広まり、栽培されています。
そんなブドウを原材料としたサプリメントを私たちは販売しております。
なぜブドウなのか?
あの甘い果実からは思いもつかないかもしれませんが、ブドウは有史以前から人間が利用してきた事実が確認されており、ヨーロッパでは「畑のミルク」と呼ばれるなど実は多くの栄養と薬効に富んでいるのです。
そういうわけで、ブドウの話をさせてください。
ブドウの歴史
古代の人もブドウを育てワインを飲んだ
ブドウと人間とのつきあいは非常に古く、先史時代にすでに栽培が始まっていたとされています。
中国の研究では、野生のブドウをワインや食用のために改良する栽培化が約1万1000年前に始まったという分析がなされました。
(日経新聞 2023.3.12 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69189690R10C23A3MY1000/)
また、アルメニアの洞窟からは紀元前4100~4000年のワイン醸造所が発見されています。
(ナショナルジオグラフィック https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/3662/)
古代エジプトの壁画には、ブドウ栽培とぶどう酒作りの様子が描かれています。
今でもエジプトや中東地域を旅すると、一般の家庭の庭にブドウ棚があってたわわに実っている様子が見られます。
現在、世界で生産されているブドウのほとんどを占めているのはヨーロッパブドウという品種。この原種はコーカサス、カスピ海地方にあったと考えられており、そこからブドウ栽培が洋の東西へと伝播していったもようです。
旧約聖書には、「ノアの箱舟」で知られるノアが洪水の後にブドウ園を作りぶどう酒を作る話が出てきます。
ギリシャ神話にはデュオニソス、ローマ神話にはバッカスという豊穣と酒(=ワイン)の神が登場しますし、キリスト教においては、ぶどう酒は「キリストの血」を象徴する神聖な意味を持ち、宗教儀礼でも重要なアイテムとなっています。
ワイン、そしてその原料であるブドウは、はるか昔から現在まで、人の生活になくてはならないものであり続けていることがうかがえます。
日本のブドウの歴史
日本には、現在のブドウとは異なる固有種のヤマブドウがもともと自生しています。縄文時代の遺跡・三内丸山遺跡(青森県)からヤマブドウの種が見つかっていて、この時期にはすでに食用され、葡萄酒も作られていたようなのです。
一方、現代の一般的な「ブドウ」が日本に伝わったのは奈良時代、シルクロードを経て中国からもたらされたと考えられています。
この1300年前に渡来したブドウが、日本のブドウの固有種である「甲州ぶどう」の起源だとか。現在の日本ワインの一大産地、山梨・勝沼でこの甲州ブドウの栽培が始まったとされていて、DNA解析の結果、甲州ブドウは欧州系のブドウと中国の野生種の交雑種であることが判明しています。
(農水省 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/spe1_01.html)
本来、乾燥した気候でよく育つブドウ。雨が多くじめじめした日本の風土には合わないのですが、品種改良や栽培技術の進化によって、日本の気候と土壌に適した品種が育成されてきました。
生食用でいえば、近年人気のシャインマスカットやピオーネ、「宝石」と形容され高額で取引されるルビーロマンなど個性的なブドウが次々と生まれ、世界でも評価されています。
ブドウとお肌の関係
ところでブドウはおいしいだけでなく、美容や健康にうれしい効果のある成分をたくさん含んでいます。どんなものがあるのか、代表的なものを見てみましょう。
◎ポリフェノール
強い抗酸化作用があり、美肌維持、老化防止を助けてくれるポリフェノール。ポリフェノールにはいくつもの種類がありますが、ブドウは、特にアントシアニンという成分を豊富に含みます。これはブドウの赤、青、紫などの色素成分ですが、眼精疲労をやわらげるなど目に良い効果が近年は注目されています。
アントシアニンのほか、レスベラトロールにも、肌の潤いやハリの維持、美白、肌荒れ予防などさまざまな美容効果があります。
ポリフェノールは赤系のブドウの方により多く、特に皮や種に豊富に含まれているので、ポリフェノールの観点からは、皮ごと食べられる品種がおすすめ。
とはいえ、食べ過ぎるとお腹をこわしやすいので要注意。ブドウは食物繊維も豊富なのです。
◎カリウム
カリウムは人体に欠かせないミネラルのひとつ。体内の過剰な塩分を排出してくれる働きがあるので、むくみ防止や血圧を正常に保つ効果が期待されます。
むくみは血液の循環を悪くさせるため、老廃物がたまり肌荒れの原因にもなりますから、むくみを予防することは肌荒れ予防にもつながります。
カリウムはほかにも様々な食材に含まれますが、煮たりするとカリウムは水に溶けだしてしてしまうため、生のままで食べられる果物はカリウム摂取に向いています。
◎有機酸
甘い中にもさっぱりとした酸味があるのがぶどうの味の魅力。その酸味は有機酸から来ています。
この成分には、疲労回復や美肌効果のほか、コレステロール値を下げる、がん細胞の増殖を抑えるといった健康効果が指摘されています。
中でもブドウに多く含まれる酒石酸には、腸の中の悪玉菌をおさえて善玉菌を活性化させてくれる働きがあるとされています。腸内環境とお肌のコンディションとの関係はよく知られているところですね。
◎ビタミン、ブドウ糖
もちろん、美容と健康に欠かせないビタミン類も豊富です。特にビタミンC、ビタミンE、ビタミンB1・B2・B6・葉酸・ナイアシンといったビタミンB群が含まれます。
ところで、ブドウに含まれる栄養素で忘れてはならないのがブドウ糖です。ブドウ糖は脳の大切なエネルギー源。日本ではブドウから発見されたため、この名称がついています。
ブドウには多くの栄養が含まれているとはいえ、近年は糖度もどんどんと上がっていることもあり、くれぐれも食べすぎには注意しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
とても身近な食べ物でありながら、こんなにも多様な顔を持っているブドウ。
歴史や文化的な側面、そして栄養面と、調べればまだまだブドウについての興味深い世界が広がっていきます。
そんなわけで、ブドウの話は続きます。お次のテーマは、ワイン、干しブドウ、そしてブドウ葉です。ぜひご覧ください!(https://physical.ne.jp/archives/195)