PHYSICAL

NEWS ARCHIVES

2024.6.13 ,

夏バテ防止だけじゃない、こんなにすごい「梅」パワー

「梅雨」の字には、ある植物が含まれます。そう、梅です。ちょうど梅の実が旬の季節ですね。

その芳香にもかかわらず果実そのままを食することはされず(青梅には有毒成分が含まれます)、塩漬けにした梅干し、砂糖漬けにした実や滲出したシロップを日本人は楽しんできました。

この時季、これらの加工品を仕込む「梅仕事」に精を出す人も多いでしょう。調べてみると、なんとこの梅の実には非常に多くの健康効果があるようです。一緒に見ていきましょう!

梅の歴史と栄養成分

枝ぶりや花の様子が非常に日本的な樹木のように思えますが、梅は中国原産で日本に伝来、奈良時代には生菓子に加工して食べられていたといわれます。

平安時代には塩漬けが「梅干し」として書物に登場、戦国時代には梅干しが兵糧食として重用され、江戸時代には庶民の食卓に並ぶようになったとか。紫蘇漬けの梅干しが普及し始めたのもこの頃だそう。

梅干しなどの梅の加工品の効能に、昔の人々も気が付いていたのでしょうね。

さて、それでは梅の効能とは?梅の実に含まれる栄養や成分から見てみましょう。

有機酸

梅のすっぱい味の源である有機酸。

果実そのもの、梅干し、梅肉エキスなどの種類により含有量は変わります。梅の有機酸のうち主なものはクエン酸です。梅が疲れをとるとよく言われますが、それはこのクエン酸によるもの。

また、カルシウムや鉄といったミネラルの吸収を助けるのもクエン酸の仕事です。

ポリフェノール

抗酸化力で老化を防ぐ働きをするポリフェノールも梅の実に豊富に含まれます。

そのため、抗老化だけでなく血圧や血糖値を下げる、脂質代謝改善、抗炎症、防カビなど多くの効果が期待されます。

ビタミンE

脂溶性ビタミンのひとつで高い抗酸化力があるとされるビタミンE。この「若返りビタミン」が梅にはリンゴの33倍も含まれます。

豊富なミネラル

鉄、カリウム、カルシウムといった日本人に不足しがちな必須ミネラルも梅の実は豊富に含みます。

ムメフラール

血流を改善し動脈硬化などの予防が期待されるファイトケミカルの一種、ムメフラール。

梅の果汁を長時間に詰めて作る「梅エキス(梅肉エキス)」に含まれ、注目を浴びています。加熱濃縮の過程で生成されるようで、生の梅の実には含まれません。

梅の効能、もりだくさん

さて、上記のような梅の成分が私たちの健康にどんな良い働きをしてくれるのでしょう?

今度は効能の面から梅パワーを見てみましょう。

抗酸化作用

すでに述べたように、梅はポリフェノールが豊富。

体内で発生する活性酸素を無害化してくれる抗酸化機能が高いことで知られるブルーベリーに匹敵するほど、梅の実もその力があるとされています。身体の内側から老化を抑えて元気に美しくありたい人にとって、「抗酸化作用」はキーワードです。

消化を助ける

梅には消化酵素の量を増やしたり活性化させたりする働きがあると考えられます。梅干しを食べるとつばがたくさん出てくるというのは、この働きに通じます。

唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれているのです。唾液が多く出るということは、食欲を増進させ、消化を促進し胃腸を守ると同時に、口内の衛生を保ち虫歯の予防になるという側面もあります。

疲労軽減、熱中症予防

クエン酸が疲労物質である乳酸の分解を促し、疲労からの回復を早めます。

夏バテのような暑さによる疲労に対しても効果抜群。疲労の回復に加え、暑さで汗をかき失った体の水分とミネラル分を補うのにも「水+梅干し」は適しています。

血液サラサラ

血液をサラサラにし、血糖値や血圧を下げるなどの効果を持つ梅の成分。特に1999年に梅肉エキスから発見された血液サラサラ成分「ムメフラール」は梅特有の成分で、梅肉エキスのほか梅酢を継続的に摂取することでも効果が得られるそうです。

また、強いアルカリ食材である梅は、食生活やストレスのせいで酸性に傾いた血液を弱アルカリ性に戻してくれます。

ほか、コレステロール値や血糖値を抑える、血圧の上昇を抑える、尿酸の排出といった生活習慣病予防につながる効果も報告されています。

カルシウム、鉄の吸収促進

日本人が不足しがちなカルシウムや鉄分。頑張って摂取しても、なかなか身体に吸収されにくいという難点がありますが、クエン酸にはカルシウムや鉄の吸収性を高める作用があります。

カルシウムや鉄を摂取するなら、クエン酸も取り入れた方が骨粗しょう症や貧血などの予防効果が高くなります。

抗菌、抗ウイルス作用

夏場、お弁当が傷むのを防止するために梅干しを入れると良いと聞いたことはありませんか?

事実、クエン酸の強い殺菌力などにより、黄色ブドウ球菌のような食中毒菌の繁殖を抑える力が、梅にはあります。

さらに、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する効果も。

また、梅のポリフェノールがインフルエンザ等のウイルスの増殖に対して強い抑制作用、消毒作用があることも分かっています。

もちろん食べ過ぎは禁物

梅は、私たちの身体にとって非常に有益な力を持っていることが分かりました。多種多様な健康食材が手に入る現代ですが、この伝統食材を見直したのではないでしょうか?

とはいえ、梅干しの食べ過ぎは塩分の過剰摂取にもつながりますので注意しましょう。

参考ウェブサイト
梅研究会 https://www.umekenkyuukai.org/
紀州田辺うめ振興協議会 https://www.minabe-ume.com/kounou.html
JA紀州みなべいなみ梅部会 https://www.minabe-ume.com/kounou.html
わかさ生活・わかさの秘密 https://himitsu.wakasa.jp/contents/plum/

LATEST ARCHIVES

投稿一覧