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2024.4.4

冬に溜め込んだ体のお掃除と新しい季節へのパワーチャージに。春の山菜を食べよう

4月となり桜も開花、本格的に春らしくなってきましたね。冬の間は活動を止めていた木々や草花は芽吹き、虫たちは活発に動き出します。スーパーマーケットの食品コーナーや農産物直売所では、この季節ならではの食材が目立つようになってきました。彩り豊かな春野菜たちです。今回は、春野菜の中でも特別な食べ物、春の山菜にスポットを当て、紹介したいと思います。

「春の皿には苦みを盛れ」

人間は冬眠こそしませんが、自然界の季節の移ろいは確実に私たちのバイオリズムに影響を与えています。私たちの体は寒い季節は代謝機能が低下し、運動量も小さく、体に栄養分やその他いろいろなものを溜め込もうとする性質を持っています。その冬の間に蓄積した脂肪分や老廃物を排出する力が大きくなるのが、春です。春はデトックスの季節と言われます。身体の代謝が活発化し、活動量も増えていく春は、それまでに溜め込んだ体の不要なものを排出しやすい季節。そしてこの時に旬を迎える春野菜や山菜など「苦み」のある食べ物が、デトックスを助けてくれると考えられてきました。ことわざに「春の皿には苦みを盛れ」というものがあります。まさに、春に苦みのある食材を積極的にとることで、冬の間に溜め込んだ脂肪や老廃物を排出しようということでしょう。

山菜の栄養素とその健康効果

山菜類はたいてい植物繊維が豊富でタンパク質や脂質は少なく、低エネルギー。ダイエット食品と言っても良さそうです。山菜の種類にもよりますが、ほかの野菜と比べてポリフェノールやビタミン、ミネラルが豊富なものもあります。

それにしても、なぜ春の山菜はこうも苦味があるのでしょうか?その苦味の正体は、ポリフェノールや植物性アルカロイドだと言われています。

ポリフェノールといえば、抗酸化作用が強く、その種類は数千種(アントシアニンやカテキン、イソフラボンなどが有名)、ほぼすべての植物に存在する色素や苦味の成分です。ポリフェノールは特に植物の種子や芽に多く含まれ、その苦味によって動物や虫から食べられないよう身を守っているのだそうです。だからこそ、春に食べる芽吹いたばかりの山菜はほかの野菜と比べて苦味が強いのだとわかります。

また、植物性アルカロイドはカフェインの一種で、余分な老廃物を排出して腎臓を助ける働きがあるとされます。

これらのポリフェノールの抗酸化作用と植物性アルカロイドのデトックス効果が、苦みのある春の山菜のパワーです。実際には、アク抜きとともに水溶性のビタミンやミネラル、ポリフェノールなどの多くも、実は失われてしまいますが、それでもやはり、厳しい冬を乗り越えて芽を出した山菜を食べることで、植物のパワーをもらえるような気持ちを昔から人は持っていたのではないでしょうか。

代表的な春の山菜たち

春の山菜の中でもポピュラーなものをいくつか、栄養面での特徴とアク抜き方法を添えて、紹介します。

フキノトウ

フキの花をつぼみの状態で食します。主な栄養は植物繊維、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、カリウムなど。ピロリジジンアルカロイド類という天然毒が含まれ、しっかりアク抜きする必要あり。アク抜きの方法は、塩を加えたお湯でゆで、冷水にさらします。

タラの芽

タラの木の若芽。山菜の王様と呼ばれる人気の山菜です。主な栄養素はビタミンE、ビタミンK、葉酸、食物繊維、カリウム、ナイアシンなど。アク抜きの必要なし。

ワラビ

春の若芽が山菜として用いられるほか、地下茎からとれるデンプンはワラビ粉としてわらび餅の原料になります。主な栄養素はビタミンB2、葉酸、ビタミンE、食物繊維など。発がん性のあるプタキロサイドという物質が含まれ、丁寧なアク抜きが必要です。アク抜き方法は、沸騰したお湯にワラビを入れ、灰か重曹を全体にまぶし、火からおろして落し蓋をして一晩置いた後、水を替えて冷水にさらします。

コゴミ

シダ植物のクサソテツの若芽で、先っぽがくるくると巻いています。アクが少ないのが特徴で、さっと茹でるだけで食べられます。Bカロテンが豊富で、ほかビタミンK、葉酸、食物繊維、ビタミンE、ビタミンCなどを含みます。

ゼンマイ

シダ植物の一種で、これもやはり若芽はくるくると巻いています。コゴミと異なりゼンマイには産毛のようなものがついています。栄養面での特徴は、葉酸が多く、ほか食物繊維、ビタミンK、ビタミンCを含みます。ワラビと同様の下処理が必要。

ウド

アク抜きが不要で、独特の風味とシャキシャキ感が人気の山菜。需要が高く栽培も多くされています。カリウムが豊富。

ツクシ

都会でもよく見られるスギナの胞子茎。実はB-カロテンを豊富に含み緑黄色野菜と言ってもよさそう。ほか、食物繊維やビタミンE、葉酸、ビタミンC、カリウムなどを含みます。下処理方法は、一晩、水に浸してから塩を加えた熱湯でさっとゆで、水にさらす。

山菜を食べて、芽吹きのエネルギーをいただこう

近年は山菜は市販されていますが、山で山菜取りをするのが好きな人たちもたくさんいます。農水省のサイトでは、見間違いやすい毒植物の情報や山菜の天然毒とアク抜き方法などについて情報発信されています。https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/rinsanbutsu/leaflet.html

くれぐれもこのあたりを注意して、安全に山菜を楽しみ、春の息吹を感じたいですね。

食べ方については、昔ながらの煮つけからイタリアン風など、検索すればさまざまなレシピが見つかります。当編集部のおすすめは、なんと言ってもてんぷらです。シンプルに素材の味が楽しめますし、どの山菜にも向いています。ほんのり苦い春のてんぷら、ぜひこの季節に味わいましょう!

参考ウェブサイト

日本特用林産振興会「山菜 健康とのかかわりを科学する」
https://www.nittokusin.jp/sansai/index.html
KAGOME
https://www.kagome.co.jp/vegeday/nutrition/202004/10938/
日野製薬 生薬ブログ
https://hino-seiyaku.com/blog_crude_drug/food/post_58.php

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