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2024.3.11

もう花粉に悩まされたくない!①~まずは花粉症について知ろう

スギ花粉の飛散が本格化するシーズンです。

日本人の約4割が花粉症とも言われ、花粉症は今や国民病とも言われます。

なぜ花粉にアレルギー反応が起きるのか?なぜスギなのか?――花粉症とはどういうものなのか、基本的なことから治療法の最新研究まで。「花粉症特集」をお届けします。

花粉症とは?その症状

花粉症とは、花粉によって生じるアレルギー疾患を指します。花粉が原因となるアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎を中心に、その症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙目、充血といったものから、抗原成分が鼻から喉へ流れて喉のかゆみや咳、喘息が起きたり、鼻づまりのせいで頭痛やだるさにつながったり。

花粉によって肌が荒れる、特定の果物や野菜を食べると口の中が腫れたり、かゆくなったりする人もいます。

スギ花粉症の人の場合はトマト、シラカンバ花粉症の人にはリンゴやモモを食べると口の中がかゆくなるというような口腔アレルギーを併発するケースがあることも知られています。

花粉の種類と飛散時期

毎年、冬も終盤に差し掛かってくると花粉情報が出されるようになってきました。

これは日本の花粉症患者の原因物質の大半がスギ花粉であり、そのスギの花粉がこの時期に飛散のピークを迎えるからです。

スギの花粉は、地方にもよりますが1月ごろから5月ころまで花から放出されて空気中を飛んでいます。

スギの花粉症患者が多い理由は、日本の国土の植林の大半がスギ林であり、スギの花粉が一時期に非常に多く飛散するからです。

北海道や沖縄ではスギ花粉は少なく、関西地方ではスギ以外にヒノキの植林面積も大きいため、ヒノキ花粉にも注意が必要。スギ、ヒノキのほか、花粉症の原因となる花粉は日本では約60種類も存在すると報告されているそうです。

花粉症の原因となる主な花粉と、その飛散時期は下の通りです。


スギ:1月~5月ころ。ピークは3月。

ヒノキ:2月ころ~6月ころ。ピークは4月。

シラカンバ:北海道。5~6月ピーク。

イネ科(カモガヤ、オオアワガエリ):ほぼ通年。北海道では6~9月。

キク科:ブタクサ、ヨモギ属は秋。

このように花粉によって飛散時期が異なるため、アレルギー症状の出る季節から、自分自身はどの花粉に対して反応しているのかを推測することができます。

正確に知りたければ、耳鼻科や眼科などで検査してもらうことも可能です。

国では、スギやヒノキの植林について、花粉の少ない品種の開発を進めています。そのような花粉の少ない品種の苗木に植え替えるなどの対策を講じていますが、効果が表れるまでは時間がかかりそうです。

なぜ花粉にアレルギー反応を起こすのか?そのメカニズム

花粉症が起きるのは、ヒトの免疫反応が「花粉」という一部の人では反応しないような物質に対しても過剰に反応して起こると考えられます。その「異物」である花粉を排除しようとして、くしゃみや鼻水、涙といったアクションを身体が起こすのです。

つまり、ヒトの免疫システムは、鼻や目の粘膜から侵入してきた花粉のタンパク質(=抗原)を自分ではない「異物」であると判断すると、それを無害化するために反応(=抗原抗体反応)し、その結果としてくしゃみなどのアレルギー症状が現れるのが花粉症なのです。

「感作」成立から「発症」するまで

①アレルギーの素因を持っている人は、身体に入ってきた花粉(抗原)に対する抗体(「IgE抗体」と呼ばれる)を作ります。これが「感作」が成立した状態と呼びます。

特定の抗原に対して特定のIgE抗体が作られます。

②「感作」が成立するとすぐに花粉症になるとは限りません。

発症するまでの期間は、人によって数年~数十年と個人差あり。抗原となる花粉を浴び続けるうち、抗体の量がその人の許容範囲を超えてしまうと「発症」に至ります。

③花粉が身体の中に入ってきたある時に、何かのきっかけでくしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が現われます。

「今までなかったのにいきなり花粉症になった」というようなケースを聞いたことはないでしょうか。

感作までの期間、発症するまでの期間は、花粉の飛散量や体質など、さまざまな要因が絡み合い、個人差があるようです。

日本人の4割が花粉症?!

花粉症の人の人数を正確に把握することは難しいのですが、環境省の資料(「花粉症環境保健マニュアル2022」)に出ている調査結果をここに引いておきます。

1998年、2008年、2019年に実施された、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした鼻アレルギーの全国調査によると、花粉症の有病率は1998年で19.6%、2008年は29.8%、2019年には42.5%。約10年ごとに、ほぼ10ポイント増加しています。

中でもスギ花粉症は19年に38.8%。日本人の3人に1人はスギ花粉症というわけです。

同じような眼科医とその家族を対象にしたアレルギー調査では、アレルギー性結膜炎の有病率は48.7%、スギ花粉を原因とする季節性アレルギー性結膜炎は37.4%と、やはりスギに対する花粉症が圧倒的に多くなっています。

おわりに

花粉症は、生死にかかわる病気ではないとはいえ、数か月にわたり鼻や目などに不調があるのはつらいもの。

特に鼻などの呼吸器の不調は不眠にもつながり、日常生活や仕事に影響してしまいます。

次回は、花粉症は治るのか?治療法などにフォーカスします。

参考ウェブサイト
厚労省
「的確な花粉症の治療のために」 
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/kafun_chiryo.pdf
アレルギーポータル  https://allergyportal.jp/knowledge/hay-fever/

環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」https://www.env.go.jp/content/900406385.pdf

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