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2024.2.14

女性必見。美とホルモンと睡眠の話

前回『日本人に足りないもの、「睡眠」。美と健康に、眠りは大切!』で睡眠の大切さ、睡眠不足が積み重なった際のリスクについてお伝えしました。https://physical.ne.jp/archives/308
世界的に見て日本人は全般的に睡眠時間が短いこと、特に日本の女性は4割もの人が日々の睡眠時間が6時間に満たないことが調査で指摘されています。
しかし、睡眠は心身を健康に保ち、美肌や美髪を守るアンチエイジングのためにも、十分にとりたいもの。
今回は、特に女性に関わる睡眠の特徴にフォーカスしてみたいと思います。

女性ホルモンで眠れない?眠くなる?

特に女性は、女性ホルモンの変動が睡眠に影響します。妊娠中にやたら眠かった記憶のある方もいるでしょう。生理前にも眠気を感じる方は多いはず。
こうした現象の裏には、プロゲステロンとエストロゲンといった女性ホルモンの影響があるのです。

月経

月経前に体調が悪くなったり、イライラしたり、または眠くてたまらないといった症状に悩まされる女性は少なくありません。これは、女性ホルモンの影響だと考えられます。排卵後から月経開始までのプロゲステロンが優位となる黄体期は、睡眠が浅くなりがち。そのため日中の眠気が強くなってしまいます。さらに、月経による鉄欠乏性貧血が強まると「むずむず脚症候群」が出やすく、そのせいでよく眠れないということも。足の不快感には鉄分不足に気をつける、生理痛がひどくて眠れないなどの原因がある場合には、専門医に相談するなどの対応をとると良いかもしれません。

妊娠

妊娠期にもホルモンの影響で眠気をつよく感じます。それに加えて、胎動が気になったり、むずむず脚症候群など足に不快な感じがあったりと、睡眠をじゃまする要素が増えています。

出産後

産後には、ほかの時にはありえないほどの大きく、急激なホルモンバランスの変化が起きています。これによって起きるマタニティブルー、精神的な不安定は不眠を引き起こしがち。また、授乳や子どもの夜泣きなどの対応も加わって、この時期の女性は質の良い睡眠も、十分な睡眠時間もなかなかとりづらい環境に置かれます。

更年期

更年期もまた、不眠の悩みがつきものです。はっきりと原因は解明されていませんが、プロゲステロンとエストロゲンの減少が関連しているとみられています。この女性ホルモンの減少で引き起こされると考えられるのぼせや動悸、「ホットフラッシュ」の症状でよく眠れないケースも。ホルモンとは別に、子どもの独立や介護といったストレスがこの時期に重なりやすいことも、不眠につながる要因と考えられます。

こうして見ると、多くの女性は睡眠の問題を抱えやすいことが分かります。
女性ホルモンの影響は避けられないにしても、悩みやストレス、家事、育児による時間的な制約の方は解決可能な要素です。できるだけ睡眠時間に割くようにしたいものです。

アンチエイジング効果を発揮する2つのホルモン

睡眠中、体はダメージを受けた細胞、組織を修復し疲労を回復しますが、これは肌についても同じこと。次は、私たちが眠っている間、美肌やアンチエイジングにつながる働きをしてくれる成長ホルモンとメラトニンという2つのホルモンに注目してみたいと思います。

成長ホルモン

成長ホルモンは、子どもが骨や筋肉、各器官を発達させ大人へと成長するのにかかわるホルモンです。大人になると分泌がなくなるわけではなく、疲労を回復し代謝を促す働きをします。このホルモンがあるおかげで、眠っている間に免疫力が保たれ、病気やけがの治癒などが進むのです。また、骨密度を増やす、肌のハリを保ちシワを減らす、脂肪を減らすといったアンチエイジングの観点でも欠かせないホルモンです。

メラトニン

メラトニンは体温やホルモン分泌の調整など、一日における体のリズムをつかさどるホルモンです。周囲が暗くなるとメラトニンの量が増えて眠りを誘うメカニズムで、睡眠ホルモンと呼ばれることも。渡り鳥などの季節リズムもメラトニンが関わっているのだとか。
そしてなんと、メラトニンには強い抗酸化作用があると言われます。メラトニンが出て眠くなり、眠っている間に活性酸素が取り除かれて肌の老化が抑えられるのです。また、このメラトニンには成長ホルモンの分泌を促す働きもあるようです。

2つのホルモンのアンチエイジング効果を具体的に挙げてみましょう。
――美肌効果(うるおい成分やコラーゲン生成を助ける、紫外線など昼間に受けたダメージから回復させる、肌のターンオーバーを正常化する、たるみ、しわ、シミの予防)
―血行を良くする
―脂肪を減らす
―薄毛を予防する

メラトニンは周囲が暗くなってくると分泌が増え、人は眠くなると先に書きました。
そのため、寝る直前まで部屋が明るかったり、パソコンやスマホなどのブルーライトの刺激を受けたりしていると、メラトニンがきちんと増えず、床についてもなかなか寝つけなくなることが分かっています。
一方、成長ホルモンは深い眠りのノンレム睡眠の間に分泌量が増えるとされます。年齢に伴って分泌量は減少していくため、眠りの質を良くし、可能なかぎり成長ホルモンに活躍してもらうことが、美肌への道につながるといえます。
よく眠ることで、自然と心身の美しさが保たれるのですね。

十分な睡眠のために工夫を

女性特有のバイオリズムが熟睡できない要因のひとつであるとすると、世界中の女性が睡眠不足に陥ってもおかしくありません。ところが、日本以外の多くの国では男性より女性の方が睡眠時間が長いとか(OECD調べ:参考URLは記事末尾に記載)。

アンチエイジング、そして健やかな生活のために、睡眠不足は大敵。
ライフステージに応じて常に眠りに問題を抱える女性だからこそ、より一層十分な睡眠がとれるように心がけたいものです。夜は早めに就寝するか少しの昼寝を取り入れる、あるいは、寝ようとしても眠れない睡眠障害の場合には専門医に相談するなどして、睡眠不足を放置しないようにしましょうね。
次回は、寝付けない場合の対処法や、質の良い睡眠をとるための情報をお届けしようと思います。

参考URL:

厚労省(健康づくりのための睡眠ガイド2023)

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

(eヘルスネット)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-005.html

ナショナルジオグラフィック(ウェブナショジオ)

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/403964/120700056/

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