春こそ、あえて「ゆっくり」を意識しよう
桜の開花宣言があったかと思えば、あっという間に満開になり、雨が降って花の見頃は過ぎてしまいます。春という季節のなんとあわただしいことでしょう。ともすると、年度末からずっと走り続けている人も多いのではないでしょうか?
フレッシュで生命力がみなぎる季節感の一方で、眠くてたまらない、やる気がでない、体調が悪いなどお疲れモードの人が多くなることも事実です。
なぜ春は体調を崩しやすいのでしょうか?キーワードは、「自律神経」です。
目次
春が眠いわけ
春眠暁を覚えず――とは有名な漢詩に歌われました。その通り、春はたくさん眠ったはずなのにまだまだ眠くて朝、起きられないということも珍しくありません。
ポカポカとした陽気のせいでしょうか?もちろん、寒さの厳しい冬から気候が良くなり、体が素直に反応してリラックスした結果だということもあります。
ところが一方、その逆に眠りが浅くなっており、質の良い睡眠がとれていないせいで眠気を感じる場合もあるのです。春に眠づらくなってしまう理由は、いくつかあります。
春に特有の気象条件
春は、寒い冬から夏への移行の季節です。
暑い日があったかと思えば寒の戻りがあるといった気温差が大きく、気圧の変化も激しいのが特徴。自律神経のバランスが乱れやすく、体内リズムが崩れてしまうと、睡眠に影響します。
花粉症の影響
多くの人が抱える花粉症の原因となるスギ花粉が3月ごろから飛散のピークを迎えています。花粉症の影響で鼻がつまり、熟睡できなくなります。
4月に年度が改まる
日本では4月から新年度となるため、3月ごろから仕事面でもプライベートでも多忙になりがち。イベントが多く、異動や転勤などで生活環境が変わる人も少なくありません。
そうした忙しさや変化が心身に大きなストレスを与え、自律神経のバランスが崩れやすく、眠りづらくなってしまいます。
自律神経のバランスとは?
さて、自律神経という言葉が何度か出てきました。自律神経とは神経系のうち、運動神経と異なり意識しないで「自律的に」働いてくれている神経を指します。
つまり、内臓の働きや血管、呼吸などをコントロールしているのが自律神経。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この2つが正反対の働きをして互いにバランスを取りながら心身を調節しています。交感神経はアクティブに活動するときに優位になり、副交感神経はリラックスして休息するときに優位になるものです。
朝、起床して日の光を浴びると交感神経が優位となって日中を活発に活動することができ、夜に向かうにつれ副交感神経の方が優位となっていき、やがて心地よく眠りにつくというのが、通常の自律神経のバランスがとれた状態です。
ところが春は先に述べたように、気象的にも社会的にも変化やストレスが多く、自律神経のバランスをとるのが難しい環境。よく眠れなくなると、それだけで心身の不調につながってしまいます。
その不調、自律神経のバランスの崩れのせいかも?
ストレスにさらされるとあまり眠れなくなるのは分かりやすいかと思います。
それだけでなく、臨戦態勢の時に働く交感神経が優位になった緊張状態の毎日が続いてしまうと、血管が収縮した状態が続いて血行が悪くなり、肩こりや頭痛の原因に。
このほかにも、胃の不快感や食欲不振、便秘、疲れがとれない、イライラするといった心身のトラブルも自律神経のバランスの乱れに関係しています。逆に、副交感神経が過剰に優位になるタイプでは、眠気やだるさ、やる気がしないといった症状がみられやすくなります。
40代以降にこそ必要なリラックスタイム
ある研究では、自律神経の働きは加齢によって衰えるとされており、特に副交感神経の働きの衰えが目立つとか。(大正健康ナビ https://www.taisho-kenko.com/column/76/)
加齢そのものが自律神経のバランスが崩れやすい要因になるということなのです。
40代ころからは、忙しいときこそリラックスできる時間を意識的にとることが大切かもしれません。
何はともあれ、まずは夜、せっかく就寝するならしっかり質の良い眠りをとりたいところ。
眠りの質を高めるためにできることは様々ありますが(参考:過去記事『安眠・熟睡の方法は?寝つきをよくする7か条』https://physical.ne.jp/archives/344#i-4)、今回は最後に、寝る前におすすめのリラックスできるアロマオイルを紹介します。
(文科省後援・健康管理検定 https://kentei.healthcare/column/1903/より)
・ラベンダー
・カモミール
・オレンジ
・ネロリ
・サンダルウッド
・スイートマジョラム
その時の気分で「いい香り」と感じたものが、その時の自分に合った香りです。
嗅覚は五感の中でもほかの感覚と異なり、脳のうちの本能や感情を司る「大脳辺縁系」に刺激を与え、自律神経をコントロールする視床下部に情報が伝わるのだそうです。
香りは自律神経にダイレクトに働きかけ、イライラを鎮めたりリラックスしたりさせる効果があるというわけ。慌ただしく床に就くよりも、アロマディフューザーなどで香りをただよわせて静かな時間をほんのいっときでも、とってみましょう。
このほかにも、自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活や食事など、様々なポイントがあります。
春のしんどさを解消しないまま無理を重ねると、5月の大型連休にとつじょとして緊張の糸が切れ、いわゆる「五月病」と言われる状態になりかねません。
忙しくて大変な時にも、少しでもリラックスの時間を取り入れてみてくださいね。