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2024.3.19

もう花粉に悩まされたくない!②~どんな治療法がある?

日本人の約4割もが患っているとされる花粉症。

単なる鼻炎や目のかゆみとあなどることはできません。不眠や頭痛につながることもあり、日常生活に支障が出てしまいます。

そんな人が国民の4割にものぼるとなれば、一大事。季節性の、一過性のものだと放置しておくわけにはいきません。

では、花粉症は治るのでしょうか?現在、日本で行われている治療法を見てみましょう。

まずは薬で対処

花粉症を疑ったら、まずは多くの方が耳鼻科や眼科などで診断を受け、薬を処方されることと思います。

薬剤には、飲み薬である経口薬のほか、鼻や目に局所的に使う点鼻薬、点眼薬などがあります。

これらは基本的に、対症療法。花粉アレルギーを治すわけではなく、アレルギー反応によって体に出る不快な症状を抑えるのが目的です。

抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬・・・内服薬。軽症の場合はこれで症状は抑えられる。

鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)/点眼ステロイド薬・・・花粉の飛散前から使い始めることで、花粉シーズンの症状を抑える、または軽くすることが期待される。

これらの薬は、
☆花粉症で体内に増えているアレルギーの細胞を押さえる
☆アレルギーの細胞から症状の原因となる物質が放出されるのを制限する
☆ヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質が、神経や血管に作用するのをブロックする

――といった働きをし、これらの薬をうまく使い分けることで、花粉症の人の半数近くは花粉が多い年でも、大きな副作用なく症状をほとんど出さずに過ごすことができるとされています。

花粉症、根本的に治せるかも?

上に述べた薬剤で副作用が出てしまう場合や、症状が治まらない場合に検討されるのが、アレルギー免疫療法です。

これは、原因となるアレルゲン(この場合、花粉から抽出したエキスの希釈したもの)を、継続的に繰り返し体内に取り入れることで、そのアレルゲンに対して体を慣らします。そして、花粉に触れた時のアレルギー反応を弱めたり、症状が出ないようにしたりする治療法です。

この免疫療法をするには、花粉シーズン後から次のシーズン開始までの間に始める必要があり、しかも治療期間は3年間以上と長期にわたることがネックとされています。

しかし、治療効果が7割、8割と高く、薬による対処療法と違って、根本的な治療であるため、この療法をやめた後にも効果が続くことが確認されているようです。

アレルゲン免疫療法には現在、2つの種類があります。

皮下免疫療法・・・注射でアレルゲンを体内に入れる。費用は1か月600円~2500円(政府広報オンライン)。副作用は、注射部位の腫れ、ショック症状、喘息など。

舌下免疫療法・・・上の皮下免疫療法は注射なので、毎回病院に行く必要があり、注射が痛いなどの理由もあって、なかなか普及せず。そこで、この舌下療法が新しく登場。アレルゲンを舌下に投与する。内服なので基本、自宅でOK。服用は毎日。費用は、スギ花粉なら保険適用。3割負担で1か月1,500円ほど。副作用は、口腔内の腫れ、かゆみなど。

いずれの療法にも副作用のおそれがあり、確率は低いとはいえアナフィキラシー症状が出る危険性もあるようです。

その副作用が大幅に低減される方法というものが開発され、実用化されるかもしれないという報道がありました。

実用化が待たれる、副作用の少ない根本治療

先に述べた、副作用のリスクを大幅に下げられる可能性のある研究は、九州大学大学
院などの研究チームが発表しました。(2024,2,28 読売新聞https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240228-OYT1T50034/

これは、免疫療法において、アレルゲンのタンパク質を寒天やセルロースなどと同じ多糖類の「マンナン」で包むというもの。

マウスの実験で、直径約100ナノ・メートル(1ナノ・メートル=10億分の1メートル)のマンナンでくるんだアレルゲンの粒子を投与し、副作用を起こさずに体に慣れさせることができたということです。

マンナンで包むと、免疫細胞は反応が鈍い一方で、体内に入った異物の情報を学習する「樹状細胞」というものに対しては取りつきやすい性質があるそうです。副作用を抑えながらアレルゲンを効率的に服用できるため、3年以上かかるアレルギー免疫療法の期間も短縮できる可能性があるとのこと。

さらに、花粉症にかぎらず食物アレルギーの治療にも応用できるかもしれないそうです。

研究チームは「10年以内」の実用化に向け、人での臨床研究を行うと報道されました。まだ先のことですが、期待が高まります。

おわりに

花粉症の薬はドラッグストアなどで市販のものを購入することも可能です。

それで症状が落ち着く場合はよいですが、うまくいかない場合、やはり受診して、自分に合った薬を専門家に教えてもらうのがよいでしょう。

抗ヒスタミン薬にも第1世代、第2世代と違いがあり、素人には選別が難しく、また、複数の薬を組み合わせるとなるとお手上げです。

花粉症特集の最後の次回では、セルフケアに関する情報をお届けします。

参考ウェブサイト
政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/kafunnsyou/
厚労省「的確な花粉症の治療のために」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/kafun_chiryo.pdf
日本アレルギー学会「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の(改訂版)」
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/sugi_tebiki16_honmon.pdf
読売新聞(ヨミドクター)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240228-OYT1T50034/

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