のどの痛みを和らげるセルフケア 大根はちみつ&れんこんはちみつ
風邪がはやる季節になりました。 のどが痛い、イガイガする、咳が出始めたというような風邪の兆候を感じたら。そんな時に、台所にある食材を使って簡単に手当てができる方法があります。ごく普通の食材なので、薬を飲めない子どもや妊婦さんでも安心。常備薬を切らしていたとしても、自分で簡単に作れるシロップでのどケアしてみましょう。
大根はちみつ
大根をはちみつ漬けにして、滲出したエキスをシロップとして飲む方法です。
はちみつに漬け込んでシロップをつくるといえば、生姜やレモンなどが思い浮かぶかもしれません。それらも体を温めたりビタミンCが豊富だったりと、健康増進のために良いでしょう。また、かりんのはちみつ漬けものどに良いことで有名です。
とはいえ、かりんはなかなか一般的に売られていないのが難点。それに比べて大根ならば、探し回らなくともたいていのスーパーマーケットで売られており、冬場には台所に常備されている家庭もあるのではないでしょうか。ちょっとのどに違和感をおぼえたら、すぐに手作りしてケアできるのが、大根はちみつなのです。
☆作り方(適量)
1.大根はできれば皮ごと(皮と本体との間に栄養価がある)、いちょう切りか1センチくらいの角切りにする
2.煮沸消毒するなどした清潔な容器に入れる(保存するなら蓋つきのタッパーや瓶)
3.はちみつをひたひたに注ぐ
以上、3ステップの簡単レシピです。
これで1時間もおけば大根のエキスがにじみ出てきます。のどに効くのは、このエキス。
どろっとして濃いはちみつがサラサラの液体になっていれば、エキスが出たことがわかります。
お好みでレモンの薄切りを一緒に漬けると風味付けになります。レモンのビタミンCも、のどや疲れに有効です。
使い切らない場合は冷蔵庫で保管し、大根やレモンは取り出して保存する方がよいでしょう。
筆者の場合は、必要分だけ少量ずつ作り、その都度、食べきっています。大根そのものではなく、エキスをシロップとして飲むのですが、筆者の家庭では、子どもたちがはちみつ漬けになった甘い大根も喜んで食べてしまいます。一方、筆者自身はこの甘味が苦手なので、のどがおかしい時には大根おろしを食べる、ハチミツをなめる、と別々に取り込んでいます。
なぜのどに効く?はちみつと大根の効能とは
☆はちみつ
マヌカハニーやプロポリスなどの抗菌、風邪予防の効果は広く知られていますが、そうでない普通の天然はちみつにも抗菌作用があります。
はちみつは糖度が80%と非常に高いことから、細菌の活動を阻害します。また、はちみつに含まれる酵素とミネラル分やポリフェノールが抗菌作用を発揮。
そのため、のどの炎症や痛みを和らげるほか、かぜの予防、疲労回復を促す効果もあります。また外用としても、唇の荒れや口内炎に直接塗ると薬用効果があります。肌の美容効果もあるとされ、フェイスパックなどにもはちみつが活用されています。
加熱により効果が少なくなったり失われたりしてしまうので、のどのケアのためには、製造時に非加熱の生はちみつを選んでください。また、1歳未満の乳児にはちみつを与えてはいけませんので、ご注意ください。
☆大根
生の大根の辛味にも殺菌作用、喉の炎症を鎮める働きがあります。
この辛み成分「イソチオシアネート」には、血液をサラサラにする作用や解毒作用があり、インフルエンザや風邪予防に効果的。
また、大根には「ジアスターゼ」という消化酵素が豊富で、消化不良や胸やけを緩和し、強い解毒作用があります。お刺身にツマが添えられるのは、生の大根にこうした作用があるからです。これらの成分は熱に弱いので、生で食べることがポイントです。
れんこんはちみつ
漢方では種子や葉、花托などが薬として用いられるれんこん。薬膳食材としては、れんこんは加熱しない生の場合、体にこもった熱を冷ます、潤いを補うなどの働きがあるとみなされ、肺を助け、のどの痛みや咳によいとされています。
そこで、「大根はちみつ」と同様、のどのトラブルに効果のあるはちみつと合わせた「れんこんはちみつ」をご紹介します。
☆作り方(適量)
1.れんこんはできれば皮のまますりおろす。1人分でれんこんは2~3cmほど。
2.ガーゼやさらしなどですりおろしを包み、しぼり汁をとる。
3.れんこんのしぼり汁にはちみつ適量を混ぜる。分量は味見をしてお好みで。
以上、やはり簡単な3ステップです。こちらもお好みでレモン汁を加えてください。
この絞り汁シロップをお湯割りにするのが飲みやすいようですが、筆者宅では、子どもたちは原液のまま飲んでおります。筆者自身は甘さが苦手なため、はちみつは入れずに、絞り汁そのままか醤油で味付けしています(おいしいとは言えません。薬感覚です)。また、味が悪くなるため保存はおすすめしません。
のどに効くれんこんの成分とは?
れんこんの主な成分は炭水化物、デンプンです。しかし、意外ながらビタミンCも豊富なことが風邪に効果がある理由です。れんこん100gで1日に必要なビタミンCの約半分が摂取できてしまうほど。ビタミンCは通常、熱に弱いものですが、れんこんのビタミンCはデンプンに守られて加熱しても壊れにくいという特徴があるので、加熱調理にも適しています。さらに、れんこんの切り口を黒く変色させるポリフェノールの一種タンニンにも、のどの痛みを緩和する効果があります。
ケアは早めに、無理せずに
のど飴には、大根やれんこん入りのものがあることからも、これらの食材がのどに良いことは慣習的に知られていたのでしょう。
筆者個人的には、大根はちみつよりも、れんこんはちみつの方が効果が強いと感じています。
大根の方は、のどがイガイガする、声がかすれる、のどの入り口が腫れているといった症状には良いという実感です。れんこんの方は、のどの入り口よりもっと奥に痛みがある場合や、咳が出るようになっても効果を感じます。
現代ではドラッグストアなどで、のどの痛みや軽い咳の薬は手に入れることができます。
大根はちみつやれんこんはちみつのような民間療法は、身近にあるもので手軽にできる手当として便利ですが、鼻水を伴う場合や、胸で咳をするような状態であれば、医療機関に受診し、きちんと薬を処方してもらう方が安心です。また、自分でれんこんをすりおろしたり、後片づけをするのもつらいような体力状態であれば、無理せず、薬を飲んでよく眠ってくださいね。